特集にあたって

編集部

 治療抵抗性統合失調症(Treatment-Resistant Schizophrenia:TRS)は,通常の抗精神病薬による薬物療法では十分な改善が認められず,治療が難渋する統合失調症の病態をさします。統合失調症患者の約30%に治療抵抗性統合失調症が発生するとされています。それに対して唯一の効果がある薬剤とされているのが,クロザピンです。治療ガイドラインにおいてもクロザピンの使用が推奨されており,厚生労働省もその導入,普及を推進するため診療報酬の改定を行いました。しかし,クロザピンは重篤な副作用のリスクのために,クロザリル患者モニタリングサービス(CPMS)へ登録された医療機関でのみ取り扱うことが可能な,適正使用と厳重な安全管理体制が義務づけられている薬剤です。
 クロザピンを適正に使用することで,これまでの治療では功を奏していなかった患者に新たな希望をもたらし,自分らしさを取り戻す契機となるかもしれません。現在,日本国内での処方率は諸外国と比して低い傾向にありますが,今後その導入と普及はますます進むことになるでしょう。本特集においては,クロザピンの使用について,看護師,医師,心理士,薬剤師,看護教育など,多職種によるそれぞれの角度からの視点をご紹介しています。安全な使用のための看護実践について学ぶ機会として本特集を活用していただけると幸いです。