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ケースで学び 活かすフォーカスチャーティングの実際【精神科編】

ケースで学び 活かすフォーカスチャーティング(R)の実際【精神科編】

編著
川上千英子(特定非営利活動法人日本フォーカスチャーティング(R)協会理事長,JFCヘルスケアマネジメント研究所主席研究員)
B5判 2色刷 196頁
定価2,860円(本体価格2,600円+税)
ISBN978-4-86294-026-1
2010年5月刊行

※著者の所属、肩書きは刊行時のものです。

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◆解説

 フォーカスチャーティング(R)を導入しようとしている病院,患者さんや看護が見える書き方ができず困っている看護師に向け,記載の方法やポイントを,数多くの事例で紹介!
 統合失調症,うつ病,人格障害,認知症など,精神科における患者さんの入院から退院までの記載事例,また水中毒や身体合併症などポイントに絞った記載事例を紹介。生きた記録から学べます。監査や教育,また個人情報保護法などの知識も学べる絶好の書。精神科におけるフォーカスチャーティング(R)決定版。

◆内容構成

第1章 看護記録から患者記録へ

看護者に求められる意識改革

川上千英子

開示できる看護記録へ――これからの診療情報のあり方

阿南 誠

 

第2章 フォーカスチャーティング(R)で記録しよう

フォーカスチャーティング(R)の記録の基本原則

川上千英子

患者の人権・尊厳を守る記録――暴力・暴言のある患者記録から学ぶ

フォーカスチャーティング(R)認定指導員関東ブロック

 

第3章 入院から退院までの記録の実際

 

●事例1 統合失調症――精神科急性期治療病棟・慢性期病棟の事例から

油山病院看護部

●事例2 統合失調症――精神科救急病棟の事例から

高岡病院看護部記録委員会

●事例3 アルコール依存症――離脱症状,不安感,再飲酒を超えた事例から

北林病院看護部記録委員会

●事例4 境界性人格障害――自傷行為の多い患者の事例から

秋田緑ヶ丘病院看護部

●事例5 認知症――周辺症状へのケアが必要な事例から

秋津鴻池病院看護部

●事例6 長期療養患者――心筋梗塞・糖尿病予防への援助を必要とした事例から

鳴門シーガル病院看護部記録委員会

 

第4章 状況に応じた記載事例

 

●事例1 身体合併症①――急性薬物中毒,誤嚥性肺炎

秋田大学医学部附属病院看護部

●事例2 身体合併症②――イレウス

秋田大学医学部附属病院看護部

●事例3 身体合併症③――がん

鳴門シーガル病院看護部記録委員会

●事例4 水中毒・多飲症

北林病院看護部記録委員会

●事例5 精神科外来――継続看護に向けて

秋田緑ヶ丘病院看護部

●事例6 精神科訪問看護①――服薬管理を中心に取り組んだ事例

訪問看護ステーションこまえ正吉苑

●事例7 精神科訪問看護②――不眠による服薬指導を中心に取り組んだ事例

訪問看護ステーションこまえ正吉苑

●事例8 急変時の記録

高岡病院看護部記録委員会

●事例9 事故・インシデント事例①――骨折

秋田県立リハビリテーション・精神医療センター看護部

●事例10 事故・インシデント事例②――無断離院・自殺未遂・自殺

阪南病院看護部記録委員会

 

第5章 フォーカスチャーティング(R)導入にあたって

 

フォーカスチャーティング(R)導入の実際とポイント

秋田県立リハビリテーション・精神医療センター看護部

フォーカスチャーティング(R)導入と改善のプロセス

高岡病院看護部記録委員会

 

第6章 さらなるフォーカスチャーティング(R)活用のために

 

看護記録と評価――看護記録ガイドライン・マニュアル作成にあたって

尾㟢幹子

監査とスタッフ現任教育の実際――個人監査の活用

さっぽろ香雪病院看護部記録検討委員会

電子クリニカルパスとフォーカスチャーティング(R)の実際

秋田大学医学部附属病院看護部

電子カルテにおけるフォーカスチャーティング(R)――導入後の経過と問題点

阪南病院看護部記録委員会

第7章 精神科医療訴訟と看護記録

精神科医療訴訟の際に必要な記録――判例をふまえながら

鈴木 真

 

※Focus Charting(R)(フォーカスチャーティング(R))はCreative Health Care Management,Inc.,Minneapolis,U.S.Aの登録商標です。

フォーカスチャーティング協会
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

看護師(准看護師)に関する法の変遷
 1948(昭和23)年7月30日に「保健婦助産婦看護婦法」が施行された。これが看護を「業」とする者の基本法である。幾度かの改正を経て,2001(平成13)年12月改正で名称を「保健師助産師看護師法(以下,保助看法)」とし,2002(平成14)年3月に施行された。これまでは「業務独占」だけであったものが,2006(平成18)年改正では「看護師(准看護師)でない者は,看護師(准看護師)又はこれに紛らわしい名称を使用してはならない」という「名称独占」が追加された。このことに関してはいろいろな角度からの見方があるが,看護師・准看護師(以下,看護師)の社会的責任がいままで以上に強化され,名実ともに社会に認められた証だと考えることが自然であろう。

法律における看護記録記載義務と責任
 看護師は24時間患者にかかわる仕事だが,保助看法において「看護記録を記載しなければならない」という規定はされていない。
 看護記録が要件として義務づけられたのは1951(昭和26)年の「完全看護制度」の発足からで,1958(昭和33)年の「基準看護制度」創設で承認基準となった。また診療記録の一部である看護記録には,記載義務と保存義務(2年間)がある。2006年の第5次医療法改正では,入院基本料の届出を行っている病棟においては看護体制1単位ごとに患者の個人記録として経過記録(観察事項や実施した看護内容)を整えなければならなくなり,診療報酬上,看護体制の中で重症度や看護必要度のチェックを義務づけた。その項目は看護記録と連動していなければならず,実践したことを証明することが必要条件になっている。
 看護業務は幅広く,保助看法では看護記録の記載を定めていないことに関しては,たとえば1日100人以上の外来患者が来る病院であっても,実質上診療の補助業務を行う看護師は1人である場合がほとんどであり,対象全員の看護記録を記載することは不可能に近いことや,そもそも「診療の補助」を行っている場面での看護記録とは何かという問題が生じてくるからではないかと思っている。もちろん,外来診療でも看護記録の記載を行っている病院もあるが,「療養上の世話」を行う病棟におけるそれとは違った側面からの記載がなされているのではないだろうか。

よりよい看護記録の記載方法を考える
 看護記録は,歴史的には「経時的経過記録」が最初に用いられている。この記録方式は時間を追って実践したケアや患者の反応が詳細に記載されているもので,現在でもこの方式を採用している病院は多い。ほかの記録方式を採用している病院でも,事故や緊急時には経時的経過記録に切り替えて記載しているところも多い。これは日本看護協会が示したガイドラインによっても推奨されているし,弁護士の中にも医療紛争(裁判)が起こった場合のことを考え,事故や緊急時には経時記録が望ましいと考えている人もいる。だが短所として,1日のすべてのやりとりを記載するのに時間がかかることや,他人が読む際には書かれていることをすべて読まなければ理解できない,といったことなどがあげられる。
 次に登場してきたのが「SOAP記録」である。1973(昭和48)年にPOS(問題志向型システム)における「SOAP記録」が紹介され,現在でも,日本医師会では診療記録にこの方式を採用しており,看護師の多くも準拠している。しかし問題点として,リストアップされていないことや患者のもつよい点などが記載されないこと,アセスメントが書けずに「SOS」記録になってしまうことなどがあげられよう。
 このようなシステム上の不満を解消し,看護記録をより価値あるものにするため,1981(昭和56)年に米国の看護師スーザン・ランピーらによって,フォーカスチャーティングが開発された。日本には1995(平成7)年に『看護学雑誌』で紹介され,普及活動の結果またたく間に広がりをみせ,2009年度第2回全国看護記録実態調査によると,いまでは約50%の施設・病院が導入しているという。

フォーカスチャーティングの実務書として
 本書は7章から構成されていて,フォーカスチャーティングによる記録の基本原則と解説に始まり,第3章「入院から退院までの実際の記録」,第4章「状況に応じた記載事例」では臨床で遭遇する多彩な事例やその際の記録の書き方が網羅されている。特に第3章の事例3アルコール依存症患者への「表情スケール」の使用は統一した観察に有効と思われるし,事例6の長期療養患者への患者参画型看護計画は一般化されることを期待したい。また第7章「精神科医療訴訟と看護記録」では医療訴訟の際の記録の扱われ方が紹介され,このときどういう記録が必要なのか,興味をもって読ませていただいた。フォーカスチャーティングを採用している精神科病院の看護師が自己学習をするには十分な情報量だと言えるだろう。
 私は,精神科医療現場ですべての記録方式を経験してきたが,それぞれ長所と短所がある。たしかにフォーカスチャーティング記録は書きやすい。患者の少しの変化をとらえ,記録に残すことができる点では,これからも広がっていくに違いないとも感じている。けれども,どのように記録を書くかが第一義的な問題ではなく,どのような看護を行ったかが問われていることを忘れてはならないだろう。実践した看護と患者の反応を短時間で記載するツールとして,本書を参考にして自己研鑚を積まれることを期待するものである。

岐阜医療科学大学 保健科学部看護学科 准教授
野中浩幸

※『精神科看護』2011年1月号より転載

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
       
 
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